第二節

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入り口付近の女子集団の中に行くと、一人が私の耳元で小さく言った。 「あなたまさか、山川さんと仲良いの?」 「そりゃ同室だし、仲良くしなきゃ。……何か問題でも?」 私は少し嫌味を込めて言う。 同室者と仲良くすることの何が悪いの。 それに…彼女は特別なの。 「あら、知らないの?去年の春にあった第五中の事件。結構有名よ?」 「勿論知っての上よ、山川さんが関係してるのも。それでも私は山川さん本人と関わりたいの。同情とか、憐れみとかじゃなくてね」 自分の声が思いのほか冷たくなっていることに気付いた。 確かに、言ったことは本心。これは間違いない。 でも… 私はこんなに、山川さんに思い入れがあったのかな? 出逢ってまだ二日目だというのに…。 女子生徒数人が舌打ちをしたことに気付いた。 全く…こっちが舌打ちしたい気分だよ。 「不幸んなっても知らないからね」 その言葉を最後に、私はその集団の中から追い出される形になった。 別にいい。 こんな連中と居るより、一人の方が気楽。 ……一人が…。
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