1人が本棚に入れています
本棚に追加
入り口付近の女子集団の中に行くと、一人が私の耳元で小さく言った。
「あなたまさか、山川さんと仲良いの?」
「そりゃ同室だし、仲良くしなきゃ。……何か問題でも?」
私は少し嫌味を込めて言う。
同室者と仲良くすることの何が悪いの。
それに…彼女は特別なの。
「あら、知らないの?去年の春にあった第五中の事件。結構有名よ?」
「勿論知っての上よ、山川さんが関係してるのも。それでも私は山川さん本人と関わりたいの。同情とか、憐れみとかじゃなくてね」
自分の声が思いのほか冷たくなっていることに気付いた。
確かに、言ったことは本心。これは間違いない。
でも…
私はこんなに、山川さんに思い入れがあったのかな?
出逢ってまだ二日目だというのに…。
女子生徒数人が舌打ちをしたことに気付いた。
全く…こっちが舌打ちしたい気分だよ。
「不幸んなっても知らないからね」
その言葉を最後に、私はその集団の中から追い出される形になった。
別にいい。
こんな連中と居るより、一人の方が気楽。
……一人が…。
最初のコメントを投稿しよう!