238人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
双子狂愛END、その後
~Side 三月ウサギ~
俺は白い箱を片手にアリスを捜していた。
箱の中身は、俺の大好きな人参ケーキ。美味い人参ケーキが手に入ったから、一緒に食おうと思ったんだ。
スッゲェ美味いから、絶対アリスも気に入る!
そう思っていつもより機嫌良くアリスを探していて、漸く見付けたアリスは双子と一緒に居た。
ただし、見付けたアリスは、
真ッ赤ニ染マッテ、動カナカッタ。
「………、なに…してんだ…?」
箱が手から滑り落ちて、グシャリと嫌な音を立てる。
けれど俺はそんな物気にも掛けずに、ただ紅いアリスを凝視していた。
――――これは、なんだ?
数え切れない位に誰かを殺した。
それは顔無しだったり、時には役持ちだったり。
そう、目の前に広がる光景は飽きる程に目にして来た、筈だ。
なのに、初めて見る光景のように目が離せない。
「―――……あぁ、ひよこウサギ」
だって、彼女は、
「何って、見て解らないの?」
アリスは、
「「お姉さんの心臓を貰ったんだよ」」
アリスは、紅い血とは無縁な存在だった筈だろ?
「……お前らが、やったのか」
「?何言ってんの、僕たち以外がお姉さんの心臓を貰って良いワケないだろ?」
「そうだよ、それに他の奴がお姉さんを殺すなんて、赦されないよ」
双子は淡々と言葉を紡ぐ。
それは一見していつもと変わらないのに、紅と蒼の瞳に宿すのは…明らかなる゙狂気゛。
この世界の人間は皆狂ってる、勿論俺も。
狂気なんて、見慣れた筈なのに、この双子が宿す狂気は、
「なんで、殺した?」
俺は元々、ブラッドやアリスのように頭は良くないけど、今日はいつも以上に頭が上手く働かない。
ただ、アリスから視線を逸らせずに双子に言葉を投げかけるだけ。
「……なんでって」
「お姉さんが好きだからに決まってるだろ?」
「僕らは、お姉さんが好きなんだ。凄く凄く、好き」
「でもお姉さんは、僕らを見てくれない」
「だから、心臓が欲しくなった。せめて、心臓だけでも手に入れれば、」
「お姉さんは、誰のものにもならない。僕らのものにもならないけど、他の奴に取られるよりは、マシだよ」
愛おしそうに、双子はアリスを見詰める。
ザックリと開いた胸に…アリスの「心臓」がある場所を撫で、笑う双子。
――――あぁ、『狂ってる』。
`
最初のコメントを投稿しよう!