三月ウサギが初めて泣いた日。

2/4
238人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
双子狂愛END、その後 ~Side 三月ウサギ~ 俺は白い箱を片手にアリスを捜していた。 箱の中身は、俺の大好きな人参ケーキ。美味い人参ケーキが手に入ったから、一緒に食おうと思ったんだ。 スッゲェ美味いから、絶対アリスも気に入る! そう思っていつもより機嫌良くアリスを探していて、漸く見付けたアリスは双子と一緒に居た。 ただし、見付けたアリスは、 真ッ赤ニ染マッテ、動カナカッタ。 「………、なに…してんだ…?」 箱が手から滑り落ちて、グシャリと嫌な音を立てる。 けれど俺はそんな物気にも掛けずに、ただ紅いアリスを凝視していた。 ――――これは、なんだ? 数え切れない位に誰かを殺した。 それは顔無しだったり、時には役持ちだったり。 そう、目の前に広がる光景は飽きる程に目にして来た、筈だ。 なのに、初めて見る光景のように目が離せない。 「―――……あぁ、ひよこウサギ」 だって、彼女は、 「何って、見て解らないの?」 アリスは、 「「お姉さんの心臓を貰ったんだよ」」 アリスは、紅い血とは無縁な存在だった筈だろ? 「……お前らが、やったのか」 「?何言ってんの、僕たち以外がお姉さんの心臓を貰って良いワケないだろ?」 「そうだよ、それに他の奴がお姉さんを殺すなんて、赦されないよ」 双子は淡々と言葉を紡ぐ。 それは一見していつもと変わらないのに、紅と蒼の瞳に宿すのは…明らかなる゙狂気゛。 この世界の人間は皆狂ってる、勿論俺も。 狂気なんて、見慣れた筈なのに、この双子が宿す狂気は、 「なんで、殺した?」 俺は元々、ブラッドやアリスのように頭は良くないけど、今日はいつも以上に頭が上手く働かない。 ただ、アリスから視線を逸らせずに双子に言葉を投げかけるだけ。 「……なんでって」 「お姉さんが好きだからに決まってるだろ?」 「僕らは、お姉さんが好きなんだ。凄く凄く、好き」 「でもお姉さんは、僕らを見てくれない」 「だから、心臓が欲しくなった。せめて、心臓だけでも手に入れれば、」 「お姉さんは、誰のものにもならない。僕らのものにもならないけど、他の奴に取られるよりは、マシだよ」 愛おしそうに、双子はアリスを見詰める。 ザックリと開いた胸に…アリスの「心臓」がある場所を撫で、笑う双子。 ――――あぁ、『狂ってる』。 `
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!