第五夜・考察1

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最近は、自分で波長を合わせない限りなかなか見る事もなくなった(あれ)。 みんなはお化けだとか、霊現象だとか騒ぐけど、実際には何も解明されていないのが事実だろう。 はっきり言って、俺も詳しくはわからない。 だけど、たくさんのあれを見て来て、一つだけ確かな事がある。 (あれ)には、祟ったり、呪ったり、憑き物になったりする能力はない。 従って、彼らを恐れる必要は全くないと俺は思う。 (あれ)すなわち、霊現象とは、思考能力を持たない単なるエネルギー体だと考える。 もちろん人間にとっての意味でマイナスとプラスのエネルギーがあるから、俺の見て来た(あれ)はほとんどがマイナスのエネルギー体だったのかも知れない。 このマイナスエネルギー体、精神的なバランスがしっかりしている人にとっては何の害もなく、せいぜい脳神経が見せる映像化された(あれ)を見るとか、鳥肌が立つなどの現象が起こるていどであるが、精神的なバランスが崩れている時は、それが妄想を呼び起こして、自己催眠に発展する可能性がある。 これは非常に危険な症状である。 人間にはまだ解明されていない未知の能力がたくさんあるという。 例えば、手を触れずにモノを動かしたり、非常時に考えられないような馬鹿力を発揮したり。 俺は人間が宙に浮いたり、催眠術を使ったりする事を「すげぇよ!!」とは思うが、不思議とは思わない。 どちらかというと、体操選手が競技で見せる超人的な技を見る時に感じる心境に似ていると言ったらわかるだろうか。 とかく人間は意識下にも無意識下にも「そんなことは出来ない」と思っている事が多い。 勿論、俺自身も同じで、自分の固定観念を払拭出来ない人間である。 意識下では出来てもおかしくないと思ってはいても、無意識下の固定観念が邪魔をするのである。 だから、「空は飛べない」のである。 第六感といういわゆる「勘」と呼ばれるモノがあるが、これは無意識下に自身で状況を判断した結果に過ぎない。 要するに、熱いモノを触った時に無意識に手を引っ込める反射的動作の拡大したモノだと考えればわかりやすいだろうか? 少し話が逸れてしまったが、要するに人は自分が信じたいもの、信じられるものを信じると言うことだ。
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