第七夜・肩合わせ

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もっとマメに風呂にも入った方がいいという意見もあった。 俺としては、それより何より、仕事中には私用電話やゲームをやめて、仕事に専念して貰いたいというのが第一希望だった。 だって、仕事なんだからさ。 遊んでちゃダメだよな。 話が飛んだから戻そう。 俺は一段落つけて、休憩を入れた。 棚卸しは2日で終わらせなきゃならないから、今日は仕事が終わるのが午前様確定だ。 軽く食事を済ませて、また棚卸しを続ける。 店長……仕事しろよな……。 ちょっと活入れてやるか……俺はちょっと悪戯心を起こして仕掛けをはじめた。 「店長。この前、F先輩に聞いたんですけど、この店、出るらしいですね?」 すると、店長はビクッと体を震わせた。 画面から目を離して俺を見る。 「お前、やめろよな~俺そういうのダメなんだからさ~」 ……ダメなのは、あんたの仕事ぶりです。 でも、怖がりなのは笑えるかも。 30代でお化けコワイは無いだろ?プッ 俺は更に悪戯心を沸騰させて続けた。 「なんか、誰も居ないのに肩合わせする音が聞こえるらしいっすよ?」 店長は、半分笑いながら、引きつったような顔で言った。 「それ!?俺も聞いた!!ってかやめろっていうの!!本当に出たらどうすんだ!?」 ……別にどうもしないでしょ? 俺は作戦を実行に移す。 「そうだ。店長、俺ちょっとジュース買って来ます。店長は何がいいですか?」 コーヒーを頼まれて、俺は隣のコンビニに買いに行くふりをする。 閉店後、自動ドアはスイッチを切ってある。 しかし、店の前には大きな道路があり、その道をを走る車の音で手でドアを開けたのがわかる。 俺はカウンターから見えない死角に隠れて一度ドアを開けて、また閉めた。 革靴を脱いで、忍び足でスーツコーナーへと進む。 カウンターを覗き見ると、店長は相変わらず、画面とにらめっこしている。 作戦開始!! 俺は自分の姿が見えない場所で、肩合わせを始める。 カタカタカタッ……カタカタカタッ……。 「え⁉」 カタッ……カタカタカタッ……。 「何⁉マジで⁉」 カタッ……カタカタカタカタカタカタカタカタ……。 「ヤバいよ⁉おいどうしよ⁉」 プッッ……本気でびびってやがる……サボってる報いだ。
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