68人が本棚に入れています
本棚に追加
もっとマメに風呂にも入った方がいいという意見もあった。
俺としては、それより何より、仕事中には私用電話やゲームをやめて、仕事に専念して貰いたいというのが第一希望だった。
だって、仕事なんだからさ。
遊んでちゃダメだよな。
話が飛んだから戻そう。
俺は一段落つけて、休憩を入れた。
棚卸しは2日で終わらせなきゃならないから、今日は仕事が終わるのが午前様確定だ。
軽く食事を済ませて、また棚卸しを続ける。
店長……仕事しろよな……。
ちょっと活入れてやるか……俺はちょっと悪戯心を起こして仕掛けをはじめた。
「店長。この前、F先輩に聞いたんですけど、この店、出るらしいですね?」
すると、店長はビクッと体を震わせた。
画面から目を離して俺を見る。
「お前、やめろよな~俺そういうのダメなんだからさ~」
……ダメなのは、あんたの仕事ぶりです。
でも、怖がりなのは笑えるかも。
30代でお化けコワイは無いだろ?プッ
俺は更に悪戯心を沸騰させて続けた。
「なんか、誰も居ないのに肩合わせする音が聞こえるらしいっすよ?」
店長は、半分笑いながら、引きつったような顔で言った。
「それ!?俺も聞いた!!ってかやめろっていうの!!本当に出たらどうすんだ!?」
……別にどうもしないでしょ?
俺は作戦を実行に移す。
「そうだ。店長、俺ちょっとジュース買って来ます。店長は何がいいですか?」
コーヒーを頼まれて、俺は隣のコンビニに買いに行くふりをする。
閉店後、自動ドアはスイッチを切ってある。
しかし、店の前には大きな道路があり、その道をを走る車の音で手でドアを開けたのがわかる。
俺はカウンターから見えない死角に隠れて一度ドアを開けて、また閉めた。
革靴を脱いで、忍び足でスーツコーナーへと進む。
カウンターを覗き見ると、店長は相変わらず、画面とにらめっこしている。
作戦開始!!
俺は自分の姿が見えない場所で、肩合わせを始める。
カタカタカタッ……カタカタカタッ……。
「え⁉」
カタッ……カタカタカタッ……。
「何⁉マジで⁉」
カタッ……カタカタカタカタカタカタカタカタ……。
「ヤバいよ⁉おいどうしよ⁉」
プッッ……本気でびびってやがる……サボってる報いだ。
最初のコメントを投稿しよう!