【プロローグ】

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湯村はそれを見て、瞳を強く閉じる。 教会を出るとその頬に流れる涙を拭う。 深く深呼吸をすると、ポケットから小さな小瓶を取り出した。 それはこの日のためにもらった物。 その中の液を人差し指につけると、自分の唇に塗りたくる。 そして、木々の間から見える太陽に懺悔と祈りを捧げ、教会に入り直した。  ゆっくり、瑠偉の眠る長椅子な向かう。 そして、瑠偉の顔が見える位置で腰を下ろすと瑠偉の顔を眺めた。 再び溢れそうになる涙を振りはらい、その顔を見つめ直した。 「ごめんな……、瑠偉……」  湯村は眠る瑠偉に顔を寄せ、唇を重ねる。  唇を離すと瑠偉の唇が動き、舌で自分の唇を舐める。 湯村はそれを見た瞬間、我慢していた涙が溢れ出て来てしまった。 「ごめん……!瑠偉……!ごめん……っ!」  胸に重なる瑠偉の手を握る湯村。  しかし、さっきとは違い、温もりが消え出していた。 湯村の泣き声だけが、教会を包む。 徐々に冷めてく瑠偉の体温。 湯村は涙を拭わず瑠偉の顔を見た。 冷たくなった頬に両手をあて、その表情を見た。 そこで気づく。 瑠偉の閉じたまぶたから涙が落ちるのを。 「瑠偉…っ!」  湯村は無我夢中で瑠偉を抱き締めていた。  不意に零れる太陽の光の中を。 瑠偉といた日々を記憶の中に巡らせながら――
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