零(ｾﾞﾛ)の記憶

零の瞳

「何だって？」

　片方の眉を釣り上げて、零は睨むように鈴を見つめた。

　鈴も負けじともう何度目かの説明を繰り返す。

「だから、私の友達が死んだの。みんなは自殺だっていうけど、何か変なの。九音寺君はユーレイが見えるんでしょ？だったら、早智のユーレイと会って、早智に本当のこと、聞いてほしいの」

　お願いします、と鈴は零に頭を下げた。

　親友にすら相手にされなかった違和感。しかしそれを気のせいですますには、どうも何かが引っ掛かった。

　馬鹿みたいな話かもしれないが、祖母の話をした零の力が本物なら、早智本人に聞いてもらうのが一番の近道になる。そう思った。

　鈴が頭を上げると、零の何とも言えない、不思議な表情がこちらを見ていた。