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綺麗に晴れた朝、
いつも通りに朝食をとりながら母と話す。
「そらぁ、今日そらは、運命の人に出会うでしょう!」
「はい?なに急に?」母のいきなりの予言に思わず、手がとまる。
「ママ占いだよ。」
きょとんとしている俺に、なぜか母もきょとんとした顔で答える。
「それがなにか聞いていい?」
「だぁかぁらぁ、ママの占いだからママ占い。」
別に母は占い師でも何でもない。ただの主婦…。
「どういう占いしたの?」
とりあえずこういう時は母に乗ってみる。
母はうつ病を患っている。それが原因で父と離婚した。まぁそもそものうつ病の原因は父の浮気だ。
父と別れて一年たち最近は比較的落ち着いてきたが、母は家の外に出ることがない。
そんな母が自信あり気に語っているのだから、乗らないといけないわけだ。まぁ、実際のとこ面白いから良い。
「う~ん、勘?」
ーー占いじゃないじゃん!勘って…。
大真面目に答える母に心のなかで突っ込む。
「どんな人とかわかんないの?」
「そうだなぁ…。う~ん。」
「そらをみてる子…かな?」
ーー俺をみてる子?絶対1日のうち一人は確実にいるだろ…しかも確実に今考えてたし…。
とはいえ母のこの謎の予言(天気予報も降水確率0%のときでも母が傘を持っていけという日には必ず雨が降る。
ーーそれにしても今日のはずいぶん適当だなぁ。
そう思いながらも、その日はこの謎の予言が心のなかを渦巻いていた。
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