大予言?

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完全に戸惑っていた。 一方の彼女は、驚いた顔をしていたが、すぐにすっと表情が変わる…。 そして、俺のほうに歩いてくる。 「…かわいい…。」 すれ違いざまに彼女が放った一言。いつも周りの奴らが言うのとはどこか違う…まるで、馬鹿にしたような嫌味な言い方。 「なっ!」 思わず彼女を目で追い、振り返る。 「ごめんなさいね。場所邪魔して、それじゃあね。サカキ ソラ君。あなたはほんとにかわいいわね。」 そう言って、ふっと笑う、やっぱりどこか馬鹿にしたような、でも、完璧な…作り笑い。 そして、彼女は屋上から出て行く。 ーー嫌な奴…! 一瞬でも見とれた俺はなんだったんだ。 確かに、美人だった。綺麗で、思わず見とれた。 でも…、 「…かわいい…。」 あの馬鹿にしたような言い方、そして、あの笑い方…。 完璧だった。今まで見た中で、一番良くできた作り笑い。 「はぁ…。」 本気で運命の人と思った自分はなんだったんだろう。 …絶えず青い空を見上げながら彼女を何回も思い出して、 やるせない気分に浸るしかなかった。
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