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瞬耀はこの妹が……いや、ほかの弟達も苦手だった。
揉遁もこの兄が……いや、三人の兄達が苦手だった。
「あ……あぁ、うーんと……ちょっとお着替え?」
瞬耀は素肌にさらさらとした衣を一枚かけただけの状態でとりあえず誤魔化し笑いを試みる。
兄の面に貼り付いた笑みに、揉遁は冷めきった眼差しを投げかけた。愛想程度に笑い返してくれることすらしない。
「……情けないですね。一国を預かる麟家の長男が……」
揉遁のその後の言葉は続かずに、無言で見つめると黙ったまま踵を返す。
敬語こそは使っているが、その顔は完璧に兄を軽蔑していた。
「お前に付き合うだけ時間の無駄だ」と言外にチクチクと云われている気分になる。
そう。鏡華国王家麟一族四兄妹、通称「四神帝」はたいそう仲が悪かった。
はじめからではない。いつからか……いつからこうなってしまったのだろう。
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