前章-四神之序

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「……………?」   笑われたことに気づいた兄・翠馨は一瞬ぴたりと足を止める。 その目に一瞬翳が宿り、振り向くかと思えば「まあいい」と目を閉じふっと笑う。   「まったく、誰に似てそのように無礼な弟に育ってしまったのやら……」   印虎とのすれ違いざまに振り向きもせずに優しい口調で嫌みたっぷりにいう。 顔は合わせないので翠馨の表情はわからないが、いつもの…下手したら相手を怒らせてしまいそうな笑みを含む声。   「………嘆かわしい限りだねぇ……」   (――……“まだ殺していない弟”よ)   そう内心で付け足すと、無礼なのはどちらだろう、と言われそうだがクスクスと笑いながら去っていく。    
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