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何処までも嫌味ったらしい翠馨の言葉と笑顔に瞬耀はムッとして切り返す。
「……思ってもいない事をよくもまぁそんなペラペラ言えるな、感心しちゃう」
だが、挑発的に言った瞬耀の言葉もどこ吹く風で見送られ、翠馨は真っ白な髪の毛先を弄びながら笑う。
「ふっ、今更……思ってもいないことだなんてそんなの、お互い様じゃないか。それとも兄上は……」
そこで言葉を切ると、翠馨は瞬耀にぴったりと近づいて肩に手を掛けながらわざと耳元で囁く。
「“どうせならお前も死んできて欲しかった”……とでも素直に言われたかった?」
二人の官吏……詠 白藍と暁 白黎にはその言葉は聞こえていなかったが、みるみるうちに変わっていく瞬耀の表情から良からぬことを察したらしく身構える。だが、主を辱める決定打を聞いていない以上無闇に手出しをすることも出来ない。
怒りの為か、瞬耀の握った拳が小さく震えた。
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