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「か、寛劉さんっ!?」
高麗の絡まっている蔓の元に心配そうに駆け寄ってきた相手は、自分が助けた女性が高麗であると知って驚いた声を上げた。
高麗は高麗で、見覚えのあるその顔に素っ頓狂な声を上げる。
翡 寛劉は昨日この国に来たばかりの高麗にこの鏡華国の事を詳しく教えてくれた白虎派官吏だ。
二重人格なところが玉に瑕なのだが……幸い今は機嫌が良いのか、女人のような笑顔に敬語である。
――…よ、良かった……
「か、寛劉さん、有難うございます。怪我もないみたいですし、私は大丈夫ですよ」
まだ気持ちが収まらず、若干まごつきながら礼を言うと、寛劉はにっこりと笑顔を浮かべ高麗の頭を一撫でした。と、思ったら突然真顔になってチッと舌打ちした。
「それはそれは、姫神様に大事が無くて何よりです……って、何してんだよこの大間抜け野郎! 急に落ちて来るんじゃねぇ!!」
――…うわっ……
「来た」と言わんばかりに高麗はビクリと肩をすくめた。二度目とはいえこうもコロコロと豹変されては慣れるべくも無い。
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