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「なんていうか……寛劉さんはやっぱり寛劉さんなんですね」
「あ? なんだと? お前人の話聞いてんのかっ!」
「ご、ごめんなさい……」
怒鳴られて益々小さくなった高麗に寛劉は一つ息を付く。
「ふっ、可愛いなぁ」
「はい!?」
「や、独り言だ。……で? なんだって木になんか登ってたんだよ」
高麗を空中に繋ぎ止めたままの蔓を見上げながら寛劉は腕組みをして尋ねる。独り言に対する高麗の突っ込みは無視だ。
「……なんとなく、登りたかったので……そしたらまぁ、色々あって……」
「どんくさっ」
答えにくそうにもごもごとする高麗。そんな高麗をいたわるでもなく、からかっているのか嘲笑っているのか呆れているのか、寛劉は鼻で笑った。
「ひ、酷い……」
軽く顔をひきつらせる高麗。
ここに彼の主である白虎帝翠馨がいたとしたら自分への態度はもっと良い方向に変わったに違いない。
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