所詮、三流小説

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  彼女は毎日のように僕に云う。好きだと、大好きだと、愛してると。   それだけならどこにでもいるような幸せなカップルの甘い囁きに過ぎないけれど、彼女は決まってその後にある言葉を付け足すのだ。     「人を殺す貴方が素敵」     いつからだろう。   気が付くと夜は明けていて服は勿論、体の至る所に血液が付着していた。   こんな醜い姿を美しいという彼女は幾らか頭が狂っているように思える。   彼女を手放したくない故に殺人を繰り返している僕はもっといかれている。     僕はいつか捕まる時が来るのだろうか。   その時は彼女以外の人間を皆殺しにして、二人だけで暮らしていきたい。     ***     「ボツ。こんな病んだ作品、誰も読みたがらないよ」   「今の時代、病んだ物語のほうがウケると思ったんですけどね」  
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