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災厄というものは前触れもなくやってくる。
あたしがそれに見舞われたのはつい数分前。"そいつ"は二階にあるあたしの部屋の窓を金槌で割って侵入してきたのだ。
いや、鍵開いてたから。普通に入ってこいよ。なんて、見る限り話が通じそうもない相手に心の中で訴える。
「で、あたしに何か用ですか?…その…悪魔さん?」
あたしが疑問系で言ったのは、自信がなかったからだ。
背中に翼こそ生えてはいるけれど、大きいサングラスを掛け、背中に入れ墨、舌にピアスを付けている天使などどこにいるだろう。あれ、頭に角生えてませんか。
「俺は見習い天使じゃあ!!」
「ひっ!」
やっぱり話し方もヤクザみたい。ていうか、神様あんたこんな天使雇っちゃっていいわけ?
「貴様は一時間後に悪魔に殺される。俺はソレを阻止しに来た、感謝すれ」
確かに今年は厄年だけど、悪魔に殺されるとか冗談じゃない。阻止するとか言ってるけど、ベテランの悪魔がやってきたら見習い天使が何か出来る筈もない。
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