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医者はゆっくり話し始めた。
「君は雪道で車がスリップして崖から落ちた事は覚えているかい?」
「はい、その辺は一応覚えてます」
そう答えると医者はうなづいて会釈した。
「その落ちたときに積んであった…そう、そこのヌイグルミがクッションになって、側頭部が保護されて一命を取り留めたんだ」
医者の指さす方を見た。
ヌイグルミはヒロミが作ってくれたクマのヌイグルミだった。
「一命を取り留めたが、意識不明の重体でこの病院に運ばれたんだ。それで、3ヶ月は眠ってた事になるかな」
医者の言葉にハッとした。
今までのは全部夢だった事に気づいた。
「でも、落下している最中から記憶がないんですが」
と言うと
「おそらく着ていた服が首を絞めて気絶したんだろう。力が抜けてたお陰で助かってるんだ。全てが奇跡なんだよ」
その言葉を聞いたら、今までの事が全て理解できた。
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