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夢だと分かったが、夢の中で思ったこと、そしてもう一人の自分の言葉が、自分の中で深く刻んであった。
『あれは夢じゃない』
そう思っていた。
医者は時計を見ると
「そろそろかな?毎日この時間に必ずここに来るんだ。じゃあ、失礼させてもうよ」
と言って看護婦と共に部屋を去った。
しばらくすると息を弾ませて誰かが入ってきた。
「今日は遅くなっちゃった」
そう話しかけてきたので
「おはよ。良い天気だね」
と言うと驚いたようだ。
声を聞いたときから誰か分かっていたが、目を合わせて改めて確認した。
ヒロミだった。
ヒロミは驚いた後、突然泣き出した。
「もう!早く起きてよ!」
そう言うとヒロミは抱きついてきた。
長く眠っていたせいか、体が思うように動かなかったが、そっと抱きしめた。
「会いに行くつもりだったのに先に来られたなぁ。あの時はごめんな」
そう言うとヒロミは首を振った。
「毎日名前呼んだよ」ヒロミは少し笑った。
「うん、ちゃんと俺に届いてたよ」
そう言うとヒロミは優しくキスをした。
何も変わらないこの人生が一番幸せな道。
雪の彼方が教えてくれた。
再び歩きだす道、それはきっと愛する君と進む道。
幸せの道はここにある。
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