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コンプレックス
昔、ある人が言ったらしい。
コンプレックスは、人間において必ずあるものだと。
もし、完璧な人が居たとしようスタイル抜群な、美少女や美少年で、生まれながらのスターを秘めた人間が。
一見コンプレックスなど抱いてない様に見えても、完璧すぎて周りと違う自分にコンプレックスを抱くのだ、と。
人間は嫌いな所が、一つはあるものだと私は思ってる。
「あ、お母様ですか?」
電話口から聞こえるのは、品の良さそうな女性の声と、お決まりの台詞。
さっきからチラチラとこちらを伺う人を一瞥して、私は溜め息が出た。
「・・・母は今居ませんけど」
何が悲しくて、セールス相手に正しい返答何かしなきゃならないんだか。
電話口の人物は、私の一言に「む、娘さんでしたか」と、慌てふためいていて、それが余計に私を苛立たせて。
ガッシャーン
勢い良く電話を切ってやる。
予想していた人物が飛び出して、私を叱りつけた。
「もう、遊名!乱暴に電話切るなって言ったでしょ!」
「お母さん・・・なら、電話出れば良いじゃない」
「あら、どうせセールスでしょ?」
・・・やっぱり、分かってたなこの女は・・。
呆れて物も言えないでいる私に母のさらりとした声
『なら、遊名に出てもらえばいじゃな~い」
今までずっと電話無視して、娘に出てもらいました。って告白してるも同然の言葉を母は言ってのける。
「本当、遊名には助かってるのょ~」
全く気付いて無い天然な母。父はこんな所を好きになったのかななんて、会社に居るであろう父を思い浮かべて
私は溜息をつくのだった。
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