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その声に応えるように、犬は遠吠えを発する。
それに従うように、狗たちも遠吠えを発する。
「――私はそれに応えよう!すべての狗を私が支配という鎖で縛り、操ろう……」
月が陰る。
狗が叫ぶ。
犬は吼える。
「誓おう、誓おう!」
誓われた言葉は宙へと舞い、空に溶けて消える。
段々と雲の厚みが増し、辺りは暗闇に包まれていく。
呼応する声は次第にゆっくりとなっていき、いつしかそれはなくなった。
月がやっと雲から逃れた時、犬と狗たちは一匹残らずいなくなっていた。
「醜いな……」
何かが、上からその光景を見てボソリと呟いた。
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