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「わぁ…きれい」
うっとりつぶやいた紗弥加の両側から大樹と加代も長櫃の中をのぞき込む。
中には色とりどりの着物がキレイに畳まれてギッシリと詰まっていた。
「凄~ぃ、こんなにたくさん…。これ着てみてもいいかな?」
疑問符だがすでに一着を手にとって身体にあわせてみている。
「あっ、これなら着れそう。ねぇ、似合う?」
大樹の目がおよぐ。
―ヤバ、か、可愛い。いつもと違って新鮮だ。
「…お、おう…い、いいんじゃない?」
心の中とは裏腹につい、そっけなくなる。
そして大樹の視線が固まり、紗弥加を見つめたまま動きが止まる。
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