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「ねー、あたしも着てみたい」
「子供の着れるのなんかあるかな?」
まさに加代に救われた思いで大樹が呪縛から解き放されて長櫃を漁る。
ガァン
アレも違う、コレも違うと何枚か掻き出したとき、大樹の手が底に突き当たる。
―ん?なんかえらく空洞な音がしたな。
加代そっちのけで着物を全部出す。
空になった長櫃の中に入ると底のあちらこちらをコンコン叩く。
何度か叩くと一カ所だけ音が違う場所があるのに気づく。
よく見ても板に継ぎ目すらないように見える。
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