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―ここはどこだ?
何も見えない。
しかし暗い訳ではない。
明るすぎるのだ。
真っ白な眩しい光で周りが見えない。
ふと自分の前に誰か立った気配がした。
見えたのではなく
そこだけ少し光量が下がったので誰かがいると感じた。
「誰だ?」
─────────沈黙…
―あれ?勘違いかな?
『私が誰であるかは重要ではありません
私にはあなたに伝えなければならないことがあるのです』
「な、なんだよ?」
『慕う者のためならば死をもいとうことはありません』
「それで?」
『それを晋太郎様にお伝えください
恨むことも悔やむこともありません
ただただお役にたててうれしかった、と』
「なんか話が見えないな
あんたは誰なのさ?」
『私が誰であるかは重要ではありません
ただ晋太郎様にお伝えください』
「え?ちょっと?」
声は遠ざかって行き
またただただ眩しい世界に戻った。
そして眩しさが一段と増して
目を開けていられず思わずのけぞって目を閉じた。
そしてバランスを崩したのか
後ろへ倒れた。
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