始業式

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夏休み明け、初日―― それは、誰もが憂鬱になる魔性の日である。 このオレ、相沢四季も例外ではなく… 9月だと言うのにまだ暑い日差しを照りつける太陽と戦いながら、非常に億劫な足取りで歩いていた。 四季『…なんと言う暑さだ。オレを照り殺す気か』 亞希『照り殺すって何よ…?』 独り言のつもりで呟き、朝の通学路に響いたオレの言葉。 その呟きに反応し、あまつさえツッコミも忘れずこなしてくれるその人物。 オレの姉、相沢亞希その人である。 2人並び、通学路を歩く。 ……夏休みの間に起きた、あの出来事。 オレたち姉弟の家族になった『あいつ』が消えた後、しばらく自暴自棄になるはずだったであろうオレを支えてくれた姉さん。 口には決して出さないが、姉さんだって辛かったのだろう。 でも… 『あいつ』が消えた後、オレたちは話し合い…どのような生き方が一番『あいつ』に対する手向けになるかを考えた。 出た結論は、『変わらぬように』。 ――オレたちの勝手な解釈かもしれない。 だけど、オレは『あいつ』の最後の言葉を信じると決めたんだ。 『あいつ』が幸せと感じた日常を送ることが、『あいつ』が一番喜ぶと思って… 心の整理はまだ完全ではないけれど。 オレはオレらしく、生きていくって決めたから… 四季『ふはははっ!なんか太陽光浴びてたら元気でてきたっ!これが噂の光合成かっ!?』 亞希『あなたの体には緑葉体があるのかしら?って走って行くんじゃないっ!』 四季『あははっ!捕まえて見ろ姉さんっ!捕まえたらバーホーテンのココアを良く練ってプレゼントっ!もちろん、子供な味覚の姉さんでも飲みやすいように砂糖とミルクはアリアリさっ!』 亞希『――潰すわ。ちなみに四季、そのネタ2度目だからね?』 そして、オレと姉さんの鬼ごっこが始まった。 走るオレ、追う姉。 通学路で追い越していく生徒たちは揃って、『また相沢か』みたいな顔をしていた。 そう…これでいいんだ。 馬鹿やって、笑って、また馬鹿やって。 楽しく生きよう。 ――『兎華乃』のためにも。
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