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路地裏にて…
「何だ?諦めたのか?えらく大人しくついてきたじゃねぇか」
ニヤニヤと笑いながら龍牙を取り囲んでいく少年達。
どうやらここら辺を縄張りとする不良達らしい。龍牙は軽くうつむいており、顔は髪で隠れて見えない。
その時微かに見える龍牙の口元が笑みを形作った。
「俺があんたらについてきたのは、俺としても見られない方が都合が良いからさ」
明らかに見下したような、楽しそうに放たれた声。
すっと顔をあげて正面を見た龍牙に、怯えや戸惑いの色は欠片も無かった。
その目は、路地裏という場所とは不釣り合いに思うような、曇りがなく真っ直ぐで…強い光を宿していた。
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