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~龍牙と別れ、高校へ行った後~
今まで、遅刻やサボリは当然。教師の話も聞かなかった学校の不良達が、揃って朝から真面目に登校したことで、校内は騒然としていた。
職員室では、その他の連絡を後回しにして真っ先に朝の会議で話題にされたぐらいである。
あるクラスの教師が、不良のリーダー格だった少年に恐る恐る尋ねた。
「えぇと…突然真面目に学校に来たのは何かあったのか?」
すると、少年は休み前まで荒んでいた目をきらきらと輝かせ、真っ直ぐな眼で答えた。
「俺たち、自分達の未熟さを思い知ったんっす。これからは世のため人のため頑張りたいんで…」
それで学校に来たのだ…と。
尋ねた教師は、その内容と彼が敬語を使った事にかなり驚いたらしい。
また、別の場所では彼等によって助けられる人が続出した。
重い荷物を運ぶ人が居れば手伝い、かつあげ現場を見れば止めに入る。
花壇に水をやり、巣から落ちた鳥を助け、図書館の本を番号順にきちんと並べる。
校外でも彼等は働いた。
登下校中はゴミ拾いをし、公共交通機関ではお年寄りに席を譲り、落とし物は交番へ。
すると、初めは怖がっていた人々も徐々に彼等に笑顔で接するようになった。
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