準備期間

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俺と空は普段しないクレーンゲームやコインゲームで、ヒカリと共に遊んだ。 本当に久しぶりだ。 ヒカリと遊ぶ事。 ヒカリのこんな笑顔を見るのも。 「空ありがとう」 クレーンゲームでヒカリにぬいぐるみを取ってあげた空。 「何をやっても天才的ですなぁ、俺は」 「あれれ?」 「陸はいくつ取ってあげた?」 嫌味か? 「どーせ俺は1固も取れなかったよ」 「キャハハ」 「拗ねてる」 「うるせーよ」 「…2人共今日はありがとうね」 急にヒカリの表情が暗くなった。 俺も空も、すぐにその異変に気付いた。 「今日は本当に楽しかった」 「…」 曇った表情に次いで、声も少し掠れた。 泣いているのか? 「ヒカリ?」 「どうかしたか?」 「ヒカリちゃん」 「何かあったんか?」 3人は、駅に向かい歩いていたが、ヒカリは立ち止まる。 そして、ゆっくりと口を開く。 「今日ね放課後…携帯にお母さんから電話があって…」 ヒカリの目から大粒の涙が流れた。 「お父さんが……お父さんが戦闘機操縦訓練中に…お父さんが乗った飛行機が日本海に墜落したって…」
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