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「おはよー」
「お、おう」
空は入って来るなり声をかけてきた。
普段なら当たり前の挨拶、でも昨日の事があったせいか俺は焦り、声は吃った。
そして今日1日は、いつも通りとは言わないが、普通に会話をし、普通に接する。
しかし、明らかにそこには壁が有り、今日ほど空を恐いと思った事はない。
空が恐いんじゃない。
空との関係が崩れるのが恐かった。
そんな1日は、終わりのチャイムが鳴り、下校時間になる。
そんな時…
「空、昨日の事なんだけどよぉ…」
「何が?」
「あぁ、あれね」
「別に何もないからな」
「分かってるよ」
「別に気にしてないから」
「空…」
「あ、俺も陸に話しがあんだ」
「はなし?」
「うん、いつもの土手で待っててくんなーい?」
「おいらハゲに呼ばれてるから」
いつもの土手…それは俺と陸が小さい頃から遊び場に使っている大きな川の土手で、上に陸橋が架かっている場所。
つか話しって何だ?
このタイミングで話す事って?
やっぱ昨日の事?
「わ、わかった」
「じゃあ、待ってるわ」
「うん、すぐ行くから」
俺は空の雰囲気がいつもと違うのは、昨日の事があったからだとばかり思っていた。
その話しを聞くまでは…
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