準備期間

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「お前自分が何言ってるかわかってんのか?」 「戦争だぞ」 「死ぬかもしれないんだぞ」 「いや、絶対に死ぬ」 「それでいいんかよ?」 「バカじゃねぇの」 抑えきれない感情が爆発した。 いや、どうにかして説得したかったんだ。 「全部わかってるよ」 「全部わかってる」 「分かってねぇだろ」 「お前はいつもそうやって後先考えねぇで行動するだろ」 「俺には何の相談もなしに…」 「そんなに俺が頼りねぇかよ」 「違う…そんなんじゃないよ」 「じゃあ何だよ」 「ただ戦闘機に乗りたいが為に行くのか?」 「ゲームじゃないんだぞ」 「死んだらリセットできねぇんだぞ」 「ただ戦闘機に乗りたいんじゃないんだ…」 「戦闘機に乗って親父を殺しに行くんだ」 親父? 空は、小学校の時から婆ちゃんに育てられていた。 俺は今まで空に親の事は聞かなかった。 空が話そうとしなかったから… 「お、親父って」 「空のお父さんて居なかったんじゃ」 この後、空の顔は険しくなったままになる。 「居たよ」 「小学4年まで…」 「陸と同じクラスになるまで居た」 「母ちゃんだっていたよ」 「空のお母さん…?」 「うん、でも親父の暴力で俺と兄ちゃんを置いて逃げたけどね…」 「親父にはずっと虐待されていた」 「俺も、兄ちゃんも…」 空のお兄ちゃんは、俺も知っている。 俺達より、4つ年上で空と一緒に婆ちゃん家に住んでいて、俺もよく遊んでもらった。 「でも…だからって戦争に行く事ないだろ?」 「…やっと復讐が出来るんだ」 そう言うと空は、制服のシャツを脱ぎ出した。
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