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結那は届けを出した日から部活に参加した。先輩や、さやに引っ張られるように入部して、一緒に見学した友達は「やっぱやめる」というので、一人で来てしまった。その後一人、二人と部員は増えていった。中には、見学した日に話しかけてくれたあの子も来ていた。
「入ったんだぁ」
「うん。友達はいるっていうからさぁ。私、田辺美奈っていうの。よろしくね」
「私、鈴井結那」
「じゃあ、ゆなでいい?」
「いいよ」
結那は友達が増えてうれしく思った。この先、美奈と、長い、長い付き合いになるとは、もちろん、考えもしなかった。
結那は、準備体操の輪の中に、見慣れた顔を見つけた。バドミントンは男子もあって、準備体操までは一緒に行うこともたまにあった。結那の向かいにいた一年生が、憂樹だった。
(バドミントン入ったんだぁ)
もちろん嬉しい気持ちもあったが、まだ自分の中にモヤモヤしたものがあったので、同じ部活にいるのは、嬉しいだけにはならなかった。その時、隣で美奈が、
「あ、憂樹だ」
と言った。
「知ってるの?」
「私同じクラスなんだ」
「そうなんだぁ」
「おもしろい人だよ。よく話したりするし」
「へぇ~…」
結那はなんだか淋しい気持ちになった。自分は最近憂樹とまともに話せてないだけに、美奈の言葉は、うらやましかった。
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