116人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
夢中になって、読んで次の本を取ろうとした時、結那の手に何かが触れた。それが、憂樹の手だということに気づくのに、本の世界だった結那は時間がかかった。
「あれ…?あ、憂樹の手かぁ、ごめん。これ読むとこだった?」
「あ、いや…」
憂樹は少しとまどった。結那は何だか変な感じがした。
「…??」
憂樹は結那の手を握り直した。結那は、ちょっとびっくりして憂樹の方を見た。その時、憂樹の顔が近い気がして、結那は反射的に目を閉じた。
目を開けた時も、憂樹の顔は近かった。その顔が真っ赤に染まっている。
(え…何…?)
結那は今、起こったことを思い出してみた。
(今…何か口に触れた?やわらかかった…え?…私…キス…したの?)
そう思った瞬間、結那はバッと立ち上がっていた。そのまま憂樹の顔も見ずに、自分の家へ走っていた。
部屋に入った結那の心臓は激しく動いていた。
(私…キスしたの?)
初体験にショックを受けたままその日は晩御飯が喉を通らなかった。
最初のコメントを投稿しよう!