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自分の部屋に着いた結那は、ただ呆然としていた。
(私…キスしたの…憂樹と…)
信じられないとか、嬉しいとか、悲しいとかそういう気持ちではなかった。自分の気持ちに整理がつかなかった。
恋をするということがわからなかった。結那はまだ人を好きになったことがなかった。今までずっと男の子だと思っていて、異性として、みたことはまだなかった。
だから解らなかった。今の胸の中にある気持ちが一体なんなのか。憂樹を異性として見始めてるということにまだ、結那は何にも気付いていなかった。
二人はその後、それまでのように話すことはなかった。すれ違ってもあいさつを交わす程度で、よそよそしかった。二人と仲の良い友達は、ケンカでもしたかと心配していたけど、二人共何でもないと言ったきりだった。
そのまま月日は流れ、二人は中学卒業の日まで、仲を戻すことはなかった。
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