180人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、待ってくれ…」
兼平は右手を前に出して男を止めようとしたのだが男はもはや周りが見えていない。
「抜かないとその命無いぞ!!」
刀が振り下ろされるその瞬間に兼平は腰の刀に手をかけて抜刀した。冷たく乾いた金属が触れ合え音がして兼平は男の一撃を止めていた。
「ほう、なかなかの腕前。殺すには勿体無い相手だが致し方あるまい!!」
男は更に鋭い一撃を兼平に繰り出して来た。兼平はそれを横に飛ぶように跳ねて回避した。一撃必殺を確信していた男の長刀は地面深くに突き刺さってしまった。兼平は必死で刀を抜こうとしている男の喉元に刀の切っ先を突きつけて
「勝負あり」
と男の敗北を告げると男は観念したのか地面に座り込んで目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!