第二章

7/12
前へ
/419ページ
次へ
「一体どのような理由からこの村は全滅させられてしまったのだ……?」  いわば下っ端である兼平にその理由を知っているはずが無く、この男に尋ねる事にしたのだった。  「これだ。俺たちは何も悪い事はしていない…」  男は着物の中から首にかけていたネックレスのようなものを取り出した。そこには十字架に磔にされた男の姿が描かれていた。   「あなた…いや、この村の人たちは切支丹だったのか………」   切支丹、これは当て字である。読みはキリシタン、いわゆるキリスト教を信仰する人々である。将軍家は支配を万全なものにする為にキリスト教の信仰を禁じて信仰を確認した者は容赦なく殺してきたのである。   この弾圧は将軍家というよりは家康が行ったという方が妥当である。何故ならば秀忠は将軍に就任して間も無く、政治的な活動は行っていなかったのだ。
/419ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加