第二章

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「………頭を上げてくれ」   男は兼平の手を取ると再び立ち上がらせた。   「あなたには逆恨みのように当たってしまって申し訳無かった。将軍家の為には戦う事はまだ出来ないが、藤原兼平殿の為になら、この桃太郎、喜んで戦おう」   「ありがたい。寛大な心に感謝いたす」   兼平は感激して礼をした。   「して兼平殿、物の怪という話だったのだが事の成り行きを説明してくれぬか?」   桃太郎に兼平は将軍家に起こった災いと将軍秀忠の腕に出来た奇妙な紋様について話した。   「なる程…この事件の黒幕はかなり強大な力を持つ物の怪やもしれぬ。故に二人で勝ち残れる確率は無に等しい」   桃太郎は眉をキリリと吊り上げながら重く低い声で言った。   「無論、故に更に仲間を増やす必要があるために旅をする事になるがよろしいか?」   「御意、すぐに支度をしてこよう」
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