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いつからだろう
僕は延々続くこの嫌になる通勤道に語りかけていたのは
特に七月、梅雨も明けて生命力を漲らせながら泣き続ける蝉の声にウンザリしていたからかもしれない。
「死ぬまでにあと何回この道を往復すればいいんだ。」
道路は朝だというのに容赦なく太陽の照り返しを彼に反射していた。
まるで弱者には砂漠で命つきはてるよう反射させているかのようだった。
「そういえば、今日は朝から嫌な仕事があったな。」
朝から気分が滅入っているのもそのせいでもあった。
今日は新入社員への会社説明会があり、いつも彼がその担当者であった。
総務部長はいつも面倒な仕事は彼に押し付けていたのだった。
彼自身やる気のない社員を相手にしたくなかった。
「チッ、もう少しましな仕事をまわせよ!」
しかし内心は自分の能力の限界を感じ始めていた。
「早めに出勤しないとな・・・」
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