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「はっ!!」
目を覚ますと、教室には誰もいなかった。
当然といえば当然だ。もう時計の針は6時をさそうとしている。普通なら帰ってごろ寝してる時間だ。
「進の野郎…ほったらかしにしやがって…痛てて!!」
3時間近く突っ伏し寝していたせいか、腰をやられたみたいだ。激しい痛みが我が腰を襲撃する。
痛みに耐えつつ鞄を担ぎ、微妙に前かがみ状態で教室の扉に手をかけた。
が、俺が開ける直前に扉は開かれ、目の前にはユラユラ揺れる白髪が。
「こんな所にいたんですか?」
「あぁ…寝てたわ…。」
「雨降りそうです。早く帰りましょう。」
「うぇ~い。」
いつものツリ眼に眼鏡。かっちり制服。
うん。これこそ俺の憧れた白石 雪その人だ。
身体はちっさいなりにも、威厳のようなものが漂っている。
白石の歩きに合わせて右往左往する白髪の目立つ背中を追い、昇降口へと着いた。
やはり誰もいない。あたりは不気味な静寂に支配されている。
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