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「じゃあ僕帰るね。」
「は?」
「帰るんだよ。邪魔しちゃ悪いし。」
そういっていそいそと帰り支度を始める進。止めて!帰らないで!春彦さみしい!
「気持ち悪い…」
「なんでお前は俺の心が読めるんだよ…。
あぁもういいよ!さっさと帰れ!」
「はいはい。じゃあ頑張ってね~♪」
俺と伝票を残して進は人込みの中へと消えて行った。
見方によっちゃ帰宅途中の小学生にも見てとれる進を見送った後、俺はまたコーヒーを啜る。もうこれで12杯目だ。
それも仕方なかろう。なぜなら相手は難攻不落の白石 雪だ。
進からの流出情報では、今まで幾度となく告白されてはいるものの、今だに彼氏らしい者はいないらしい。
ということは…必然的に断り続けている、という事だ。
そんな女を俺は口説き落とせるでしょうか?
ぶっちゃけ自信は無い。皆無。虚無。
「お待たせしました。」
「あ…あぁどうも…。」
「ここで話すのもアレですから、歩きましょう。」
俺は重い腰を上げて会計をすませ、喫茶店を後にした。
そのまま白石さんにくっ付いていく。
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