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ロミオが観客に向かってアドリブの台詞を言った。
観客からクスクスと笑いが零れる。
「ジュリエット、あぁ、愛しのジュリエット…どうか顔を覗かせておくれ」
再びロミオが、イラストの中に埋め込まれたような窓に声を掛けた。
「その声は…ロミオ様、ロミオ様なのね!!」
と、体育館中にマイク音声で台詞が響く…
それと同時か、それより少し遅くか…
窓がゆっくりと開いた。
「おぉ、愛しのジュリエット!!」
「あぁ………ロミオ様!!」
窓が開き、中から姿を現したのは…
まさに美姫と呼ばれるに相応しい少女。
仕草から表情の作り方、ロミオの姿を見るや否やの指を唇に当てがう動作…
まさに、ジュリエットの愛らしさを醸し出すに相応しい動作であろう。
後ろの観客の中には双眼鏡を使って、必死にジュリエットを見ようとする者も居る。
「ロミオ、あぁロミオ…貴男は何故ロミオなの?」
ロミオとジュリエット、定番の台詞が始まった。
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