第一章、「姫と騎士と異世界」

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ロミオが観客に向かってアドリブの台詞を言った。 観客からクスクスと笑いが零れる。 「ジュリエット、あぁ、愛しのジュリエット…どうか顔を覗かせておくれ」 再びロミオが、イラストの中に埋め込まれたような窓に声を掛けた。 「その声は…ロミオ様、ロミオ様なのね!!」 と、体育館中にマイク音声で台詞が響く… それと同時か、それより少し遅くか… 窓がゆっくりと開いた。 「おぉ、愛しのジュリエット!!」 「あぁ………ロミオ様!!」 窓が開き、中から姿を現したのは… まさに美姫と呼ばれるに相応しい少女。 仕草から表情の作り方、ロミオの姿を見るや否やの指を唇に当てがう動作… まさに、ジュリエットの愛らしさを醸し出すに相応しい動作であろう。 後ろの観客の中には双眼鏡を使って、必死にジュリエットを見ようとする者も居る。 「ロミオ、あぁロミオ…貴男は何故ロミオなの?」 ロミオとジュリエット、定番の台詞が始まった。image=297295099.jpg
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