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ベッドから見える下弦の月
きれい…
甘いけだるさの中横たわったまま月を見てた…
カチッ
時計の針が0時を指す
体が固くなる。
この時間が一番嫌い。
彼はかならず0時前には部屋をでる
一人部屋に残される寂しさに体が凍る
この時間が一番イヤ
なんだか
シンデレラみたい…0時に元の姿に戻り夢の様な時間も終わる。
でも
私には探してくれる王子様なんて居ないけどね。
もう!!
ベッドから飛び起き窓を開ける
ふわっと夜気にまじるほのかな甘い香り
タバコに火を付けようとした時
ふわりと何かが入って来た
拾ってみると
花びらだった
薄いピンクのハートの形
「あっ 桜の花びら」
窓の外には一本だけ大きな桜の木が咲き誇っている
「風と一緒に入ったんだわ ほんとハートの形なのね花びらは」
つまんだ花びらをどうしようかと部屋を見渡すと
さっき飲み残したワイングラスが目に入った。
花びらを入れてみた
白ワインの上で小さなハートがゆらゆら揺れる…
嫌…
花びらごとワインを一気に流し込む。
「しょうがないじゃない!!たまたま好きになった人が結婚してただけ!!」
はぁ…
独り言増えたな…
熱いシャワーを浴びようと戸に手をかけると
ふわっと
また甘い香りがした…
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