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混み合った中桜の下を歩くと
なんとなくそれぞれカップルになって歩みだしている。
ふふ。
不思議よね~初対面なのに
と、少し遠くから見つめていると
「こういうのは苦手ですか?」
と声をかけてきた
「え?」
えっと~誰だっけ…名前忘れちゃった…
「僕は坂城慎二!」
「あっごめんなさい!私は…」
「早紀さん!!」
「あっ…そうよ。
ありがとう~ごめんなさい。」
「いいんですよ。こういうの苦手なんでしょう?初めて見た時から分かりました」
「あはは 見抜かれてたんですね」
「僕見るの得意なんです。カメラマンですから」
彼は名刺を差し出した
「へ~そうなんだ。どんなのを撮るの?」
「そうですね~人以外は色々撮りますよ景色や花が好きなんです」
慎二は架空のカメラを構えて桜に向かってシャッターを切る
「人以外?」
「あ…前は人も撮ってたんですが今は撮ってません。
自然の魅力に取り付かれてるんで」
早紀は目の前にある桜に手をかけて
「そうなんだ。確かにね花とか見ると心が和むわ」
桜を離し周りを見渡した
「でもね…桜も下にこんなにたくさんの人に宴会してるとなるとちょっとね…」
「あはは そうですね~せっかくの桜が可哀想ですね。って僕達もその中に入っちゃいましたが」
慎二は振り向き両手を広げて見せた
「ふふそうね。昨日は電車からここの桜見てたんだけど、遠くから見てる方がいいのかもね」
昨日の少し寂しい思いで見てたピンクの線を思い出していた
「そうなんですか。遠くから見る桜もいいですけど、今日はここに来たんで早紀さんに会えた!」
「あはは ありがとう~」
いつの間にかみんなとはぐれた様子だった。
美奈子が歩き出す前耳元に
「それぞれ消えちゃうかもだから、みんな居なくなっても気にしないでね」
と言ったのを思い出した…
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