ぁたし

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「ごめん…わかる?」       電話の向こうから聞こえてきたのは 確かに彼の声… だけど あたしが大好きだった訛りのある荒っぽいしゃべり方でなく 丁寧な標準語     あたしが色々悩んでいる間にも 彼は話始めた 「今 帰ってきたょ 手紙ありがとう 大阪に出稼行ったん違うくて 本当は少年院に入ってたんだ」 『…………はっ!?』     彼は以前 電話をまだしていた頃 離れていてもわかるぐらい 生活が荒れていっていました そのうちに 薬物に手を出すようになったんです     勿論好きな人でしたし 当然人としても 辞めてもらいたくて 言いましたが 聞いてくれる訳がありません こんな時 近くにいれたら ひっぱたいてやるのにと 何度思った事か… きっとそのせいだと 何となく話を聞いていて思いました よかった 捕まってよかったと 正直 思いました ですが 話には続きがありました 「ヤクでラリッて友達と3人くらいで… 公衆便所でレイプしようとして捕まったんだ」    『えええーーー…』 そりゃぁ 捕まって正解だよと思いましたよ      その後も彼はひたすら淡々としゃべり続けました     院にいる間 腐る程時間があったということ   最初に自分の犯した過ちの重大さについて考えたという事   考えていくうちに自己嫌悪に陥り だんだん孤独感に襲われていったという事   その時にいつもあたしからの手紙だけが頼りで何度も励まされたという事     「お前しかいないと思った」     その言葉を聞いた瞬間 ぶわっと涙が溢れてきました 叶うハズもないと思っていた恋が 叶った瞬間 この瞬間をどれだけ夢見た事でしょう 出会って二年弱 音信不通で一年半 3年越しの片思い       この時 『願いは叶う』 そう感じました     あたしの人生において とても大きな何かを得た気がしました           その後彼とは?       ちゃんと会いましたよ   ちゃんと付き合いましたよ 一か月 笑 想いが強過ぎてダメみたいでした 笑   だけど夢にまで見た彼女に 一か月間なれただけでも幸せでしたよ さて 『ケンちゃん』のお話はこれで終わりです 次は何の話をしようかな
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