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私が中学に上がってからは貧乏神の父親は塀の中には行かなくなり、父親なりに仕事をしていた。 父親は酒が大好きで毎晩酔っ払っている。 毎日母親と喧嘩を繰り返し、夕飯のテーブルが何度飛んだだろう。 そのせいか私達兄弟はご飯を食べるのが異常に早い、テーブルが飛ぶ前に夕飯を済まさなければならないからである。 4畳二間と2階3畳に家族5人が住んでいた。 時折、父親の子分というか昔の舎弟みたいなヤクザが家に来る。 恐かった。それしか思わなかったがこずかいをくれるのでいつも愛想良く振る舞う私がいた。 その頃の父親はヤクザに金を借りていた。いわいるヤミ金である。 夕方私が家に帰ると二日に一回必ず黒塗りの車が停まっていた。 ヤクザが借金の取り立てに来ているのだが、これが今思い出せばおもしろい光景であった。 なぜか取り立てに来ているヤクザが父親に怒られているのだ。
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