貧乏神に

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 その時は幼いせいもあり、貧乏神の存在を知らなかった。         私が貧乏神を意識しだしたのは小学校の3年ぐらいかな。          それまでは我が家はあまりお金に恵まれていないことは幼い子供ながらも少しはわかっていた。            よその友達の家には車やバイク、それぞれの自宅があった。            我が家にあったのは自転車のみ、白黒のテレビ、借家。            しかし、このテレビが不思議なテレビで、時々旅にでるのである。          それも決まって普段いない父親が現われると旅にでるのである。          そう、テレビは質屋にしばらくのあいだではあるが、父親のせいで外泊するのだ。            そのせいで学校に行っても人気番組の会話をする友達についていけない私であった。            我が家にテレビが無いことを知った一人の友達の言葉、            「やぁーい、こいつん家テレビないんや。おまえの家、貧乏神住んでると違うか?」            小学校3年の時に私は初めて貧乏神の存在を知ったのである
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