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母親の部屋で私は再び貧乏神の質問をしていた。 何度も聞く私に母親は渋々答えてくれた。 「そやなぁ、うちには貧乏神が住んでるなぁ。けどな、姿は見えへんのや。透明人間みたいで、うちに入ってくるお金を取っていくんやわ。おかあちゃんは大嫌いやな。」 母親の答えてくれたことに私はうなずきながらも半信半疑である。 姉が言った「貧乏神はおとうちゃんや。みんなの家にはお父さんが働いてる。けど、うちのおとうちゃんは仕事してない。そやからうちは貧乏なんや。」 今だに忘れられない姉の言葉であった。 その言葉がきっかけかどうかはわからないがいつしか私は父親を憎むようになっていた。 その頃の父親は塀の中にいた、刑務所である。ヤクザであった父親は塀の中と外の出入りを繰り返していた。 そんな生活の中でも私達兄弟は仲が良かった。 遊ぶのも兄弟しかいなかったし、一人で遊びに行くと近所の子供達にいじめられるからで3人はいつも一緒にいた。
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