貧乏神に

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その後も我が家の貧乏暮らしはよくならなかった。            小学5年の時だった。            担任の先生が私を職員室に呼び出した。            先生の机の上に新しい上靴が一足置かれていた。            まわりの先生達がみんな顔に笑みを浮かべながら私を見ていたのを覚えている。            「これに履き替えなさい。」            担任の先生はそれだけしか言わなかったが顔には優しさに満ちた笑顔。            めちゃくちゃ嬉しかった。            その時の私の上靴はスリッパに近い状態でボロボロ。            担任の先生が自腹で私のために上靴を買ってくれたのだ。            私は今だに担任の先生の優しさを忘れることができない。            今の世の中、そんな先生がいるだろうか?           あの時の優しさが今の私を成長さしてくれたのだろうと信じている。          たとえ貧乏生活を強いられていても、限られた人から受けた温情は忘れたくても忘れることができない心の贈り物である。
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