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帰り道
下駄箱から見る外は酷い雨で、傘もまるで役に立たなそうだ。まあ、あるだけましだろう。それより何より気になるのが、池沼が校庭で「シャワーらー!シャワーらよぉ!」と叫びながら走り回っていることだ。幸せな奴め
「ん?あれは…」
池沼に向かってどこか見覚えのある幼女が歩いて行くのが見えた
「…にー………んなところ………でしょ……」
幼女が池沼に何か言っているが、雨音のせいでよく聞こえない
すると、幼女は池沼に傘を差し出した。池沼はそれを受け取ると、奇声を発しながら校門を飛び出して行った
幼女はと言うと、一人校庭に取り残され、その場から動かず、ただただ肩を落としている。俺はやり場のない気持ちを抑えきれず、幼女に駆け寄って行った
「君、どうかしたの?大丈夫?」
「…」
幼女は黙ってこっちを見た
「あ、朝の、危ない人…」
「…!そういう君は朝のツインテ美幼女!てゆーか危ない人じゃないよ俺は!…いや、そんなことはどうだっていいんだ。それより、君はこんなところで何をしてるんだい?」
「えぇと、そのぉ…おにいちゃんに、傘を届けに…」
「ほぇ?」
余りの衝撃に自分でもよく分からない声を出してしまう
「あ、あの!正確には、おにいちゃんじゃないんです。事情があって、今は一緒に住んでるけど…」
おにいちゃんじゃないのに、同居…?益々意味が分からなくなってきた
池沼とこのツインテ美幼女に一体どんな繋がりが…
「ゴロゴロゴロ…」
空に響き渡る雷鳴が、俺の意識を一瞬にして現世に戻した。自分の体に目を移す。びしょ濡れだ。そして目の前のツインテ美幼女も…
「うは、ktkr…」
「え?何て言ったんですか?」
「い、いや、なんでもない!あ、あのさ、こんなところで立ち話してたら風邪引いちゃうよ。場所を変えない?」
「あ、はい」
「と言っても、こんな格好じゃ店には入れないよな…」
かと言って、このままここに立ち尽くす訳にはいかない
「…ウチ、来るか?」
「え、でも…」
よくよく考えてみれば可笑しな話だ。会って間もない小学生を家に連れ込もうとしているのだから
けど俺は本能的に、このツインテ美幼女を「はうぅ!お持ち帰りぃ!」することにした
「いいよ。どうせ家には誰もいないし」
「分かりました…じゃあ」
そう言って、彼女は俺に小さくて白い手を差し出した
「お願いします…」
俺はその可憐な手を壊さないように、そっと握った
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