判決

9/11
前へ
/199ページ
次へ
健一郎はすぐにその男を追いかけた。 「待てぇーー」 健一郎は自転車、男は走り、健一郎が当然速いのだが、男は住宅街を右左に動き回り健一郎を撒こうと必死だった。 もちろん、健一郎は警察官として目の前にいる犯罪者を取り逃がす事は、絶対に有り得なかった。 しかし、その健一郎の警察官としてのプライドは、時として最悪の結末を迎えることになる。 それは50メートルの直線の道路で起きた。 男との距離は20メートル程で、後少しで捕まえられる距離だったので、健一郎はラストスパートをかけようとした時だった。 健一郎の目の前に、赤いランドセルを背負った小さな女の子が現れたのだ。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

719人が本棚に入れています
本棚に追加