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健一郎はすぐにその男を追いかけた。
「待てぇーー」
健一郎は自転車、男は走り、健一郎が当然速いのだが、男は住宅街を右左に動き回り健一郎を撒こうと必死だった。
もちろん、健一郎は警察官として目の前にいる犯罪者を取り逃がす事は、絶対に有り得なかった。
しかし、その健一郎の警察官としてのプライドは、時として最悪の結末を迎えることになる。
それは50メートルの直線の道路で起きた。
男との距離は20メートル程で、後少しで捕まえられる距離だったので、健一郎はラストスパートをかけようとした時だった。
健一郎の目の前に、赤いランドセルを背負った小さな女の子が現れたのだ。
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