最期の機会

5/23
前へ
/199ページ
次へ
部屋の中に入った健一郎は目を丸くした。 その部屋には想像していた以上のモニターが数え切れないほど壁一面に取り付けられていて、部屋の灯りはひとつも無かったのだが、モニターの明かりだけて眩しく見えた。 ひとつひとつのモニターは20インチ程の大きさで、全てにこの島や牢屋の中、そして廊下にいたるまで映し出されている。 そしてそのモニターを見つめながら、大きな背もたれがある椅子に座っている1人の男がいた。 初めは後頭部しか見えなかったが、健一郎たちが部屋に入ったのに気づき椅子ごと振り返った。 その男は体格がよく白髪頭に白い毛の無精髭を生やしていた。 容姿は黒いスーツに革靴、そして一際目立っていたのがスーツの胸ポケットの上に付いている金色に輝くバッチだった。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

719人が本棚に入れています
本棚に追加