最期の機会

8/23
前へ
/199ページ
次へ
健一郎にとって訊きたいことは山ほどあるが、まず最初に言ったのこの事だった。 「……お前はいったい誰なんだ」 その質問にZらしき男は両手を広げ、呆れたと言うかのように笑った。 「そんなこと、言わなくても君はすでに分かっているはずだ。 …………まあいいだろう、私は本郷神大の父親の本郷鬼粋(きすい)だ」 やはりそうだった。神大が言っていたことは本当だったのだ。 ならば自分の息子のためのゲームだったのが、陣内の手によって台無しになったのだ。普通の父親なら臓腑が煮えくり返る思いのはずだ。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!

719人が本棚に入れています
本棚に追加