囚人Ｇ

最期の機会

すると今まで一言も口を開かず、ただ二人の会話を聞いていた陣内が目を疑う行動したのだ。

「ほほう、私にそれを向けて対抗しているつもりか？」

陣内が鬼粋に向けているのは、神大と健一郎を撃った回転式ピストルだった。

「弾はまだ残ってる。銃をおろせ本郷！」

健一郎は普段見ていた姿とは全く違う陣内の勇姿に見とれていた。

町の交番勤務の時の陣内は、警察官の先輩としての指導は時には厳しく、だが健一郎がミスをしたり間違ったことをした時は優しく教えてくれていた。